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2010年09月 アーカイブ

国際条約としてのガット 5

ハバナ憲章とガット第2部とを比較した場合、前者にあって後者から脱落しているのは国内の雇用政策についての制限、国際カルテルの禁止、国際中央機関としての国際貿易機関の設置などの諸規定です。


ハバナ憲章はそれだけ強力かつ多面的な世界貿易の調整機関として構想されていたのです。


それゆえに複雑な国際政治・経済情勢を前にしては流産もやむをえなかったのでしょう。


仮にアメリカ議会の反対がなかったとしても、それは十分に機能しえなかったでしょう。石塚孝一氏によると、その点で、「ハバナ憲章は、そのあまりにも理想主義的な性格のために、戦後の各国が経験した現実とそぐわなかった」という評価は的をえています。


・・・以上からも明らかなように、ガットは現実の多角的関税交渉の成果を成文化した第1、第3部と、本来ハバナ憲章として制定さるべきであったものが換骨奪胎されて、暫定的に多国間の国際協定とされた第2部という、二つの異質の部分から成り立っています。


以上の区別が重要なのは、それぞれによって法的規範が異なるという点にあります。

国際条約としてのガット 6

いま日本を例にとって、その点を説明してみましょう。


日本が正式にガット加入を実現するのは1955年のこと。


その議定書国家間の合意を意味する文書は


「日本国は……次の規定を適用しなければならない」としたうえで、


「(i)一般協定第1部及び第3部の規定。


(ii)この議定書の日付の日に有効な日本国の法令に反しない最大限度において、一般協定第2部の規定」


・・・となっています。


つまり、前者についてはその完全履行が義務づけられているのに対して、後者については現在の日本の法令に合致する限度においてのみ順守を義務づけられているにすぎません。


両者の法的位置づけは明らかに違っているのです。


以上を裏返していえば、仮にガット加入以前にガット第2部の条文に違反する法令があったとすれば、日本はこれについてはガット規定に従わなくてもいいということになります。


これがいわゆる祖父条項であり、これについては国内法が国際条約に優先する形となります。

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