国際条約としてのガット 5
ハバナ憲章とガット第2部とを比較した場合、前者にあって後者から脱落しているのは国内の雇用政策についての制限、国際カルテルの禁止、国際中央機関としての国際貿易機関の設置などの諸規定です。
ハバナ憲章はそれだけ強力かつ多面的な世界貿易の調整機関として構想されていたのです。
それゆえに複雑な国際政治・経済情勢を前にしては流産もやむをえなかったのでしょう。
仮にアメリカ議会の反対がなかったとしても、それは十分に機能しえなかったでしょう。石塚孝一氏によると、その点で、「ハバナ憲章は、そのあまりにも理想主義的な性格のために、戦後の各国が経験した現実とそぐわなかった」という評価は的をえています。
・・・以上からも明らかなように、ガットは現実の多角的関税交渉の成果を成文化した第1、第3部と、本来ハバナ憲章として制定さるべきであったものが換骨奪胎されて、暫定的に多国間の国際協定とされた第2部という、二つの異質の部分から成り立っています。
以上の区別が重要なのは、それぞれによって法的規範が異なるという点にあります。